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病気になったり体調が悪くなったり怪我をしたとき、薬は症状を改善し、健康の回復を助けてくれます。また、新薬の開発によって治るようになった病気も多くあります。薬学とは、このような、私たちの健康の回復を助けてくれる薬について学ぶ学問です。
薬学には、大きくわけて、「医療薬学」「製薬学」「衛生薬学」の3つの領域があります。
「医療薬学」は、薬のプロである薬剤師として、病院で医師の処方箋にもとづいて薬を調合し、患者さんに渡したり、患者さんに服薬指導をしたり、薬を適切に管理するための学問です。さらに薬剤師は、医薬品それぞれの性質や効能、副作用、使用法などの情報、患者さん一人一人の服薬歴といった情報も管理します。現在ある医薬品の種類は膨大であり、必要に応じて適切な情報を医師や患者さんに提供するための管理手法の研究は重要です。最近は遺伝子の情報をもとに、患者さんひとりひとりにあう薬を調べる研究も進んでいます。薬剤師が医師や看護師らとともにチームを組んで患者さんの治療にあたるチーム医療も広がっており、このための薬学を「臨床薬学」といいます。また、町の薬局・薬店で、大衆薬を販売するのも、医療薬学の領域です。
「製薬学」は、新薬の研究開発のための学問です。ここでは、病気に関連する受容体や酵素の探索にはじまり、その受容体や酵素に作用する化学物質の探索と合成、病気に効くかどうかや副作用を調べる検査、有効とわかった物質(=薬となる物質)の大量合成法の開発、その成分を注射したり飲んだりできる形にする製剤などについて研究します。研究にあたっては、有機化学によって薬の成分を合成するほか、漢方薬やハーブのような自然の動植物の成分から薬として効く成分を探す方法や、血液製剤のように人の体の成分から薬を作るものも含まれます。製薬の研究には、薬学のほか、化学、生物学、医学、農学、獣医学などの専門家が、それぞれの立場で携わっています。
「衛生薬学」は、薬の立場から社会全体や、職場や学校、地域社会、特定の年齢層など、集団の健康を守ることを目的としたものです。私たちの生活の中には環境汚染物質、農薬や食品添加物などさまざまな化学物質があり、それらの測定法、人体に及ぼす影響、改善法などを研究します。
薬学部で学ぶ内容としては、薬理(体内での薬の代謝)、生化学(体内での化学反応)、生理学(代謝)、免疫学(異物の認識と排除)、病理学(病気の組織の状態)といった体に関する科目や、薬の成分や合成に関わる微生物学、生薬学、放射線薬品学、有機化学、臨床医学、さらに医薬品の分析に関する科目、薬事法などがあります。これらを修め、薬剤師の国家試験に合格すると、その資格を得ることができます。
なお、薬をとりまく状況が複雑化、高度化したことを背景に、薬剤師の国家試験受験資格が得られる薬学部の教育期間は2006年度から6年間に延長されることになりました(12年間の経過措置として、4年制の薬学部を卒業した後、修士課程を卒業した者にも受験資格を付与)。しかし、4年間の薬学部も存続し、学部卒業後修士課程、博士課程に進んで創薬等の研究者になる道もあります。薬学部受験にあたっては、カリキュラムや学部のポリシーをよく検討して、大学を選ぶようにしましょう。
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