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知ってる古文の知らない魅力
有名な『徒然草』の冒頭、「つれづれなるままに、日ぐらし、硯にむかひて」は実は兼好のオリジナルではなかったと聞いたらびっくりするだろうか。この文章が和泉式部の歌の詞書「つれづれなりし折、よしなしごとにおぼえし事、世の中にあらまほしきこと」「いとつれづれなる夕暮れに、端に臥して、前なる前栽どもを、ただに見るよりはとて、物に書きつけたれば、いとあやしうこそ見ゆれ。さばれ人やはみる」を踏まえていること、似たような表現は他の作品にも見られるということ、そんなトリビア的な知識をマクラに、これがいわゆる「盗作」「パクリ」などではなく、「ことばの共有」(ああ、そのフレーズ知ってる!という仲間意識)という文学の本質的なあり方と関わることであると論ずる。その上で、『源氏物語』や『平家物語』にはじまり近代文学に至るまで、いかに多くの作品が先行作品に影響を受けているかについて、当時の時代背景も含めて説明しているが、大学での講義の内容をまとめ直したものなので、非常に読みやすい。
本歌取りや本説取りというレトリックは古典文学にはつきものだが、作品は一旦作者の手を離れたら全ての享受者の手に委ねられ、自由にアレンジされ得るもので、ある意味2ちゃんねるとも通ずるような側面を持っていたのであった。そんな風に考えると、古典の世界が身近に感じられるのでは?
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