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レトリックと人生
本書はメタファーをあつかった名著で、ことばに興味をもつ人の必読書である。高校も高学年になれば、読みこなせないことはない。メタファーは、あることがらを他のことがらにたとえる働きのことである。人間は具体的な経験をもとにして、抽象的なできごとを把握し、表現する。従来、多くの国々で、メタファーは文芸用語として扱われてきた。しかし、これは日常生活のあらゆる分野に関係した人間の認知と表現の装置なのである。
言語は人間の思考と行動に大きな影響を与える。メタファーはその複雑な操作のひとつである。特定集団が害虫に見立てられ、駆除すべきと喧伝されるとき、私たちはメタファーの働きに気づくことによって、さまざまな呪縛から自由になれるのである。部分で全体(あるいは全体で部分)を表現するのも、メタファーの働きである。私たちがバンコクに行っただけで、タイではと言いたがるのは、この認識装置が働いているからである。「窓から顔を出さないでください」と言えるのは、顔で頭を指しているからなのである。
メタファーの知識は、英語や他の外国語を学習するのに、大いに役立つ。アメリカ人が挙手をした質問者に、”OK,shoot.”(どうぞ)と言うのは、ことばを弾丸(武器)にたとえているからである。ことばを本格的に勉強しようと思うなら、ぜひ、本書に挑戦してもらいたい(ここにはどういうメタファーが隠れているだろうか)。
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