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回教概論
イスラム研究は今や世界を知るためには欠かせない学問分野となった。しかし、イスラムはわからないという人が多いのも事実である。では、日本人はおしなべてイスラムとは無縁だと思っていると、実はそうではない。近代日本が西欧列強に対抗して、アジア全体の繁栄をめざした昭和初期に、アジア全域に広がっていたイスラムは、大きな関心の的であった。当時それは回教と呼ばれた。中央アジアのウイグル族の宗教が念頭にあったためである。そして、回教は近しいものであり、「騎馬の儒教」と見られていた。なんという親しみのある表現であろうか。アジアの遊牧民が騎馬にまたがって信仰する、礼節に厚く天を敬う宗教、それがイスラム教なのだ。そうした思いが込められた概説からは、また違った印象を受けることであろう。
私個人もこの書から少なくとも2つ、新しいことを学んだ。ひとつは、イスラムが短期間になぜ北アフリカからインドに至る広大な領土を支配できたか、その理由の解明。もうひとつは、六信五行の五行とは何をさすのか。そのうちの一つが通常の理解とは違っていて、法学書の議論によるものであること。そして、その指摘は、ユダヤ教と比較すると大変納得のいくものなのである。
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