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地下からあらわれた江戸
著者は「江戸遺跡」研究の先駆け的存在であり、現在でも第一人者の1人である。1975年に自身が関わった江戸町屋の発掘調査成果をもとに発表した『江戸を掘る』(1983、柏書房)は、考古学から近世都市江戸に迫った初めての概説的研究書で、近世遺跡の調査に携わる学生、研究者にとってバイブル的存在であった。それから約20年、江戸遺跡は都心再開発の波を受けてその姿を現してきた。江戸時代というと、文書、絵画も多く残り、時代劇としても身近な存在と思われている。しかし、実際の「江戸」を発掘すると文献や絵画などには取り上げられない生活(物質)資料の発見から、意外と知られていない江戸時代の側面を知ることも多い。
本書では、遺構、遺物から、履(はきもの)、宴(うたげ)、芥(あくた)、厨(くりや)など衣食住に関する9つのテーマを設け、個々としては「無口」な資料を出土状況、歴史的変遷から解説し「物事」に昇華させた概説書である。特に最終章の結(むすび)では、江戸遺跡の特性とその発掘調査の状況、発掘された資料の整理、分析方法の流れを概説し、そこから得られた情報の積み重ねによって、考古学が出土資料から歴史を解き明かしていく手順を判りやすく解説している。これは江戸遺跡に限らず、基本的な考古学の研究手法であり、裏返せば多種多様な資料に翻弄されがちな江戸考古学に対してのメッセージともとれよう。
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