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古楽とは何か―言語としての音楽
現代屈指の大指揮者アーノンクール。極めてレベルの高いCD録音を次々世に送り出しつつ、その傍らで大量の論文をも執筆する彼の超人的なエネルギーの一端を垣間見ることが出来るのが、この本である。
ここに収められているエッセイの多くは、相当高度な専門知識を要求するものであるが、冒頭の「音楽と人生」という短い文章を読むだけでも、この本を手に取る価値があるだろう。簡単に言えばアーノンクールは、「生きることそのもの」であるような存在として、音楽を考えている。しかるに19世紀以後の近代とは、音楽がどんどん単なる「娯楽」に、快適な暇つぶしに、堕落していく歴史であった ― これがアーノンクールの基本的なスタンスだ。恐らく音楽は本来、例えば宗教行為や生命の誕生や死と同じく、そこに神が宿る体験、神聖な体験、畏怖に満ちた体験だったはずである。
「ひょっとして我々は、あまりにもオキラクに音楽を聴きすぎていないか?」 ― 現代人の音楽との「つき合い方」に対して真正面から疑問符をつきつけるこの問いかけを、真摯に受け止める読者が一人でも増えればと、切に願う。
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