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菜の花からのたより―農業と品種改良と分子生物学と
“菜の花”は日本の春には欠かせない花であり、多くの日本人が子供の頃から馴染んできたと思います。しかしながら、“菜の花”がアブラナ科植物の花の総称であり、ナタネ、カブ、ハクサイ、キャベツ、ダイコンがすべてアブラナ科野菜であることを知っている人は多くないかもしれません。また、日本各地で長い間にわたって栽培されてきた中で、京都のミズナ、聖護院ダイコン、鹿児島の桜島ダイコン、山形のアツミカブなど各地域に固有の独特な野菜も作り上げられてきました(独自の調理方法とともに)。
本書の著者である日向康吉先生(東北大学名誉教授)は、長年にわたってアブラナ科野菜の研究をリードし続けた先生であり、特に、自家不和合性(他の株からの花粉では受精するが、自分の花粉では受精しない)という現象に関する研究が有名です。本書では、アブラナ科野菜と人類との歴史、アブラナ科野菜の特徴と品種改良が前半部で紹介されていて、身近な野菜に対する興味が深まると思います。また、自家不和合性に関して紹介されている後半部では、アブラナ科野菜の雌しべが自分の花粉と他の花粉を識別する巧みな方法について、分子遺伝学の最新の研究成果も含めてわかりやすく解説されています。
植物科学に興味のある人にはお勧めの1冊です。
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