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公衆衛生学とは、医学が患者個人の疾病の治療を目指すのに対し、ある集団の疾病を予防し、心身の健康維持を図ることを目的としたものです。
病気は、本人固有の体の状態や生活環境の事情が原因となるにものもありますが、インフルエンザや風邪が、家庭や学校や職場など、生活をともにする集団で流行したり、水俣病やイタイイタイ病のような公害病が汚染地域に発生したり、微粒子が舞う中で仕事をする人が罹りやすい塵肺や1日中パソコンに向かっている人に多い目の疲れや肩凝りといったように、特定の地域や環境を共有する集団に特徴的に表れるものもあります。あるいは食習慣の変化により子どもの生活習慣病が増加したり、高齢化社会の到来によりお年寄りが罹りやすい病気が増加したりするなど、社会の変化に伴うものもあります。
こうした社会集団特有の疾病の原因を解明や、感染経路の解明、予防、健康の維持増進を考え、研究するのが公衆衛生学です。そして小児のときに伝染病の予防接種をしたり、大人になると年齢に応じた健康診断を行うのも、公衆衛生の考えに基づくものです。
公衆衛生学にはいくつかの切り口がありますが、対象とする集団ごとに、地域保健、母子保健、学校保健、成人保健などと分類します。また、現象を解明する切り口としては、健康を損なう原因を医学的に行ったり、生活環境や自然環境の調査、聞き取り調査やアンケート調査などによって行うほか、罹患率や死亡率、平均余命、死因別死亡率、身体計測値などの統計を利用し、そこから問題点を発見したり、原因を解明する手がかりをつかんだりする手法があります。このほか、保健医療行政や病院管理などの保健・医療システムも、社会の健康増進には必要な研究テーマです。
また最近では、「特定の地域」というには広すぎる、環境ホルモンなど地球環境問題に起因するグローバルな疾病や、SARSの世界的な流行に見られるように、交通機関の発達により旧来であれば特定地域で収まっていた疾病がグローバルに広まる問題が生じています。こうした集団に対応するのも公衆衛生の領域であり、その範囲は時代とともに変化しています。
公衆衛生には人の身体や病気についての知識が不可欠のため、公衆衛生学は医学部の中で学ぶことになります。同時に、現代社会や産業等についての理解を深め、統計のスキルを身につけるなどしつつ、社会全体の健康を考えるための広い視野を養っていきます。
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