|
|
物質科学の展開 1 超伝導と超流動
ものの物理的性質は温度や圧力などによって変化するが、その中で一番馴染み深いのは固体、液体、気体の三相である。これらの相の他にも、状況に応じて違った性質を示す新しい相が発見されることがあり、これらの相が変化する時点を「相転移」と言って、物理量が劇的に変化することで特徴づけられる。液体ヘリウムの超流動はそうしたものの一つで、水のようにべとつかない液体でも備えている粘性がゼロとなる、珍しい現象がおきる。一方、こういったスーパーな流れが電流で起きているのが超伝導だ。超伝導と超流動は、常識からは目を疑うような不思議な現象の宝庫だと言える。
本書には冒頭から超流動の噴水など、多くの図や写真が載っており、見ているだけでも楽しいのが特徴の一つに挙げられる。また電気抵抗がゼロになる現象、すなわち超伝導が発見された時の手書きのグラフなども掲載されており、コンピュータのデータに慣れてしまった私たちにはなんとも頼りないようだが、超伝導に移るときの劇的な変化がはっきりと現れていて、逆に臨場感を感じさせる。遡るばかりではなく2005年の最新実験結果などが同時に参照できるのも、たいへん興味深い。
ところで、極低温の世界は量子効果が現われやすい。超伝導・超流動の世界を記述するには量子力学と統計力学の知識が必要になることもあり、本書で解説されている式の変形や意味を十全に理解するには、このような知識が必要なこともある。多少わからなくても、図や写真を見ながら読み進んで、まずは現象の面白さを楽しんでほしい。
|