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対話集 歩きながら考える
「地域研究」が政治学や経済学と決定的に違うのは、特定の地域に行かないと何もできないことだ。政治学や経済学は、図書館やインターネットでスクリーンの前に一日座ってクリックを動かしていれば、資料が見つかる。しかし、地域研究は何よりもまず、自分の身体を物理的に動かして移動しない限り学べない。ヒトは誰でも、2つの地域に同時にいることはできない。自分の居る東京にいながら、同時にマニラに居ることはできないということは、マニラを学びたかったら東京にいる自分は、マニラに移動しなければならない。したがって、歩かない地域研究はあり得ないことになる。こんな簡単なことをしかも楽しくアジアの事例で教えてくれるのが、今は亡き鶴見良行さんの主として海から見たアジア地域研究についての対談集だ。1982年、『バナナと日本人』を東南アジアと日本という2つの地域のつながり方を生活者の視点から現場レポートとして世に問い、日本における東南アジア研究の新しい地平を築いた。
本書はいわば、その手法のまとめというべきもので、どう地域を学ぶか(どう歩くか)からアジアとは一体何かという途方もなく広い問いを様々な人々との対談で答えようとしている。
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