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人間性はどこから来たか―サル学からのアプローチ
日本でサル(霊長類)の社会研究が始まったのは戦後すぐである。ニホンザルから始まった研究は、その後アフリカ類人猿や、他の様々な霊長類を対象として広がり、日本はこの分野の研究をリードしてきた。専門家以外への浸透度も高く、「ボスザル」などといった言葉も、一般によく知られている。
この本の著者は、タンザニアで野生チンパンジーの研究を40年以上続けている、日本を代表する霊長類学者の一人である。といって、この本には著者が発見してきた様々なチンパンジーの行動が羅列されているわけではない。この本の主題はヒトである。そもそも、野生チンパンジー研究が始まった理由は、ヒトに遺伝的に最も近い他種を研究することが、ヒトとは何か、ヒトの特性はどこに由来するかを理解することにつながると考えられたからだった。この本では、良くも悪しくも人間性と呼ばれるもの、例えば、社会、社会の中の軋轢、互酬性、家族、文化、言語などを、進化的な視点より説明する。ヒトとチンパンジーなどヒト以外の霊長類が共有する性質は過去数千万年間にわたる進化の歴史をもつ。ヒトの特性は過去百数十万年間に存在した自然淘汰によって形成されたのである。これらの点を理解しなければ、ヒトの本性の深い理解はできない。
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