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COSMOS 上・下
地球上に生きる我々の存在、自分という個体を作っている物質は宇宙の歴史とどんな関係があるのか。自分を含めた森羅万象の変化をどう捉えたらよいのか。宗教や哲学と自然科学との関係。核兵器などに代表される原子力の応用による人類の進歩と絶滅の危険性。これらの問題をNASAの火星の生命探査計画などの立案に貢献した天文学者カール・セーガンがとても広い見地から概観し議論する。本書「コスモス」は彼の壮大な宇宙観、生命観を知るには好適の世界的ベストセラー。
今日の日本では「私は専門ではありませんので」と言って多分野にまたがる議論を好まない学者たちが多い。これは明治以後、ヨーロッパから個別学問の輸入に終始し、その個別学問の起源の共通性を認識していない日本の弱さか。しかし、細分化した諸学問の狭い専門家だけでは21世紀の人類に課せられた問題の解決は難しいのは明白。文理の枠を超え、自分の専門分野を超えて、生物学、哲学、歴史学、宗教学などの分野も俯瞰して人類の過去と未来を言及するセーガンの態度、そのスケールの大きさには脱帽する。
セーガンはBillions & Billions」(邦訳「百億の星と千億の生命」滋賀陽子、松田良一訳。新潮社刊)の執筆中に血液がんに見舞われ、1996年12月に死去。この「コスモス」はじめ彼の著作は益々混迷の度を深める21世紀の人類に警鐘を鳴らし続けている。若者が自分の将来の進路に悩む時、大いに参考になるだろう。気宇壮大にしてくれる本書は、とにかく面白い。一読を勧める。
※朝日文庫版(1984年 各651円(税込))も出版されていますが、現在は入手困難。図書館や古書店などで探してみてください(KS編集部)
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