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国際摩擦と法―羅針盤なき日本
著者の石黒一憲氏は東京大学法学部の国際私法担当教授であるが、彼の多くの著書は国際経済摩擦に翻弄される日本に対する憂国の書である。その中でも、本書はもともと1994年に新書版で出され、2002年に大幅に改訂増補されたもので、彼の主張の集大成という面がある。
本書では、あたかも国内問題であるかのように論じられる構造改革や規制緩和の背後に、国際経済摩擦とりわけアメリカとの通商摩擦が存在することを指摘し、安易な「国際協調」ではなく、国際私法の原理に基づく筋を通した対応をすべきことを主張している。強烈な問題意識に引きずられるように読み進んでいくうちに、国家主権とは何か、国家法の域外適用はどこまで許されるのか、国境を越える国家間協力にはいかなる問題があるのか、といった国際私法の基本問題に対する関心が湧いてくるのを感じるであろう。また、GATTウルグアイラウンドで生み出されたサービス貿易の自由化や知的財産権保護の問題点の指摘は、国際機関の持つイデオロギー性を考えさせる。
国際私法、国際取引法といった領域を、強烈な問題意識を持って勉強していこうとする若者にふさわしい。
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