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環境考古学への招待―発掘からわかる食・トイレ・戦争
「環境考古学」。この言葉に聞き慣れない方も多いと思う。著者も指摘しているように我が国の考古学は従来、土器、石器などの人工遺物を専ら対象とし、発掘調査で出土した動植物遺体はまだしも、岩石、土壌などの分析・研究は二の次にされてきた時代が長かった。環境考古学とは動植物遺体、岩石、土壌、そこに含まれる種子、花粉、バクテリア、元素などの自然科学資料を各分野の研究者が共同で取り組み、過去の人々の生活実態を解明する学問分野である。
本書では、土壌中に残された種子、花粉、元素、寄生虫などの分析からの環境復元事例をはじめ、動物骨、人骨に残された傷跡、出土遺物の分布とその詳細な観察などの事例を通し、環境考古学による多くの成果が提示されている。また、遺跡に残された痕跡を多角的かつ詳細に分析し、知られざる過去の復元に迫る研究方法がわかりやすく解説されている。個々の事例は、現場に残された痕跡から犯人を割り出していく名探偵を思いおこさせ、まるで推理小説を読んでいるかのような感覚に包まれる。
本書は、環境考古学が遺跡という歴史資料に対し、考古学のみでなく、文献史学、動物学、植物学、生化学、物理学、地質学など関連領域による共同研究が、歴史の解明に欠かせないことを示した1冊である。
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