|
推理する医学〈2〉
これは疫学の本である。疫学は公衆衛生学の中心的な方法論である。そう聞くと難しそうな感じがするが、面白い本である。
疾病や不健康は特定の個人だけの問題であるだけでなく、人びとに共通の問題であることが多い。たとえば伝染病のような例を考えるとわかる。身体の中をどんなに詳細に検査しても、原因はわからないことがある。それは原因が外にあって、環境に問題があるからである。そのような時、沢山の人びとを対象として研究して、みんなに共通な原因を探るのが疫学である。ちなみに、病気で亡くなった人を解剖したりして、人体の内部に原因を探るのが病理学である。
疫学は人と環境の関係から原因を探る。そして、その原因をなくしたり、減らしたり、別のもに置き換えたりして対策とする。
だから疫学の仕事は探偵のようなものである。人が殺されたら、その犯人を捜す。それと同じように、何か病気がはやったら、その犯人(つまり原因)を見つける必要がある。最終的に捕まえるのは警察だったり、保健所だったりするが、見つけるのは探偵すなわち疫学者である。この本は流行する病気の犯人探し、沢山の実例で疫学者そして公衆衛生の現場に連れて行ってくれて、その面白さ、醍醐味を私たちに教えてくれる。
|