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反社会学講座
本書は正式の社会学の本ではないし、著者はイタリア人でもない。数年前にウェブで公表された、社会学に対するパロディとしての文章を編集して本にまとめたものである。社会学のイメージがはっきりしないもう一つの原因は、評論家や素人が社会問題や事件について行う思いつき的なコメントと区別できないように見えるところにあるのではないか。
本書で「社会学」と呼ばれからかわれているのは、一見常識にかなっているがよく考えてみると怪しく思われてくるような、その種の「社会評論」である(本職の社会学者の主張が同様の「評論」にすぎない場合も多々あるのだが)。著者は、「近年少年による凶悪犯罪が増加しているから厳罰化が必要である」などのよく聞かれる議論を取り上げ、機知と風刺を駆使してそのいいかげんさ、危うさをえぐり出していく。常識を覆していく著者の手つきは、上記の意味できわめてオーソドックスな社会学のそれであるとも言える。しかし次の瞬間には疑問がわいてこないだろうか。「世間で常識だとされている見解はまちがっている、本当はこうだ」という語り口自体が、今日における典型的な「常識」なのではないか(特に2chなどでは)。だとすればそれもまたさらなる考察と調査によって検討されねばならない。
極端に言えば社会学とは特定の学説や見解ではなく、当然と思われる見解を覆していく実践そのものに他ならない。本書を楽しむことができ、同時に疑念をも覚えた人はさらに一歩先へ、この実践へと踏み出してほしい。難解に見える社会学の専門書も、多大の労苦を要するフィールドワークの技法も、そのための有益な道具となってくれるはずである。
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