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搾取される若者たち―バイク便ライダーは見た!
社会学の仕事には、社会(関係)のあり方について一般的なかたちで「考える」ことのみならず、個々の具体的な社会関係について、個別的な社会状況について「調べる」ことも含まれる。本書は若い社会学者が「参与観察」と呼ばれる技法によって、つまり調査対象となる社会状況のなかに当事者の一人として参加することによって、観察と考察を行った成果である。
社会学を学ぶ大学院生であると同時にバイク好きでもあった著者は、一年間休学してバイク便会社で働きながら、そこに集うやはりバイク好きの若者たちの行動と考え方を記録し分析していく。それによって明らかになるのは、純粋にバイクに乗ることを「かっこいい」と考えていたライダーたちの感性が職場の圧力を受けて、効率的に仕事をこなすことを、またそのために適したバイクを「かっこいい」と受け取るよう変化していくプロセスとメカニズムである。かくしてライダーたちは、身体を壊してまで仕事に没入するワーカホリック(仕事中毒者)へと変身していく。一見するとバイクに乗るという趣味に沿って生き生きと楽しく働いているように思われるバイク便ライダーたちの世界の裏側で働く、仕事へ仕事へと駆り立てる巧妙で苛烈な舞台装置。本書は、事実を徹底的に調べることによって一般的に抱かれているイメージを覆すという、社会学の仕事の一側面を鮮やかに例示してくれている。
本書を読んでこの種の実地調査(「フィールドワーク」と総称される)に興味を持った読者は、佐藤郁哉『フィールドワーク』(新曜社 2006年 2310円)なども手に取ってみよう。
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