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社会学入門―人間と社会の未来
そもそも社会学とは何なのかがよくわからないという人も多い。ここでは「社会学とは、社会関係(人間関係)を中心としてさまざまな出来事について考えていく学問である」と定義しておこう。しかしこう述べることによって、社会学のとらえどころのなさがかえって浮き彫りになってしまう。政治も経済も宗教も、犯罪も事故も災害もその他ほとんどすべての出来事が常に社会関係のなかで、社会関係を伴いつつ生じるからだ。社会関係は私たちの周囲に常に存在するがゆえに、かえって自覚的に捉えにくくなっているのである。
本書は「比較」という方法を用いることによって、私たちを取り巻く社会関係の、ひいては社会関係の総体としての現代日本社会そのものの特徴を(同時に、その偏りを)浮き彫りにしようとする。例えば「時間」をめぐって。私たちは時計によって測られる、均質に流れる時間という観念を前提に社会関係を組織化しつつ生活している。時間はいわば、できるだけ有効に「利用される」べき稀少な資源なのである。だから遅れた列車を待っている時、時間を無駄にしていると感じ苛立ってしまうわけだ。本書の著者はラテンアメリカやインドでの体験を踏まえて、他人と時間の流れを共有すること自体に喜びを見いだす、いわば時間が「生きられる」社会が存在することを明らかにする。こうして他の社会との比較により私たちの社会のあり方を相対化することを通して、新たな、より豊かな生の可能性が提示されもする。
本書は社会学を「学ぶ」のみならず、社会学を「生きる」可能性をも示してくれる、優れた入門書である。やや以前に書かれた、見田宗介『現代社会の理論』(岩波新書 1996年 735円)も姉妹編として推薦しておこう。
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