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芸術のパトロンたち
私たちは「芸術家」の「創作活動」をきわめて個人的なものと捉えがちなのだが、そこには大きな落とし穴がある。注文者のことを忘れてしまうのだ。しかし、ルネサンスにおいては、レオナルド・ダ・ヴィンチといえども注文がなければ仕事にならなかった。あの《最後の晩餐》にしても、修道院の注文で描かれたもので、主題も注文者が決めたのである。今の考え方からすると自由な創造の妨げになりそうな状況だが、実は、芸術の発展にはそれを後押しし刺激する注文者の存在が不可欠だった。それを教えてくれるのが本書である。
ここでいう「パトロン」とは、単に作品を注文してお金を払うというだけでなく、特に「芸術家を理解し、作品を評価して、芸術家に支援を与える人々」と定義されている。イタリア・ルネサンスにおけるこうした「パトロン」の登場は、職人と区別される「芸術家」の誕生と表裏一体をなしていたという。したがって、本書は社会の中での「芸術家」の位置づけとその変遷についての本でもある。王侯貴族や教会がパトロンであったルネサンスから、市民階級が展覧会に出品される作品の「買い手」として新しいパトロンとなる19世紀までを主に扱っているが、読み終わると、芸術家や芸術がその中に存在する社会の構成員として、美術館や展覧会を訪れる現代の私たちも芸術を支える「パトロン」に含まれることに気づかされ、その役割を改めて考えてみたくなるだろう。 ※「書評執筆者からのコメント」があります。執筆者ページも併せてお読みください。
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