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風景画論
『絵画の見方』では、「絵画の見方は一つではない」という序論に続いて、まず「風景画」の章がある。各ジャンルを扱った一連の章の最後に来るのは「宗教画」(=キリスト教絵画)である。著者はおそらく、一般に親しまれている順番を意識してこの配列を決めている。事実、私たちが「絵」としてまず思い浮かべるのは印象派などの風景画ではないだろうか。しかし、20世紀イギリスを代表する美術史家のケネス・クラークは『風景画論』でこう述べる。「この問題について深く考えたことのない人は、自然美の鑑賞や風景画の制作とはわれわれの精神活動の正常かつ永続的な部分であると思いがちである」が、実際には「風景画は…19世紀の主要な芸術創造だった」。たしかに、西洋では風景画の登場は意外に遅く、宗教画の「背景」でしかなかったものが次第に自立へと向かい、19世紀にようやく主要ジャンルとなったのである。著者はそうした風景画の歩みを、「象徴としての風景」、「事実の風景」、「幻想の風景」などのタイプを設定して考察し、風景画の多様なあり方とその変遷に、西欧人のものの感じ方・考え方の変遷を重ねている。
「おそらく彼は風景画存立の条件をなす人間の情感、すなわち騒がしい都市から平和な田舎に逃れようとする人間の欲求を最初に表現した人である」といわれているのはいつの誰だろう?――風景画について具体的な知識が得られるだけでなく、美術史研究の奥行きの深さを感じさせてくれる本である。 ※「書評執筆者からのコメント」があります。執筆者ページも併せてお読みください。
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