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美学の逆説
著者が自ら述べていますが、この本はけっしてやさしい読みものではありません。この本は、いわゆる「入門書」とか「概論」ではなく、自らを批判することでしか成立しえないという「美学の逆説」を正面から知的営為として引き受けた著者の「思考の軌跡」を示すものだからです。文章もかなり難解です。薄められて甘い味付けがされているわけでもなければ、わかりやすくかみくだかれているわけでもありません。しかし、読者を子ども扱いしないこの少々「硬派」な語り口がこの本の魅力のひとつと言えましょう。
中途半端に走らず正統派の美学をきちんと勉強したい人は、この本に正面からぶつかっていくといいと思います。もちろん最初から全部は無理です。まずは第1章だけで充分でしょう。プラトン、アリストテレスからカント、ヘーゲル、ショーペンハウア、さらにはブリア=サヴァランやユイスマン、レヴィ=ストロース、ドゥルーズまでにも言及するこの章には、1学期分の「美学概論」の内容が含まれています。ネットでの聞きかじりをコピペしただけの「お勉強」では歯が立たないはずです。できれば原典を参照しながら、ゆっくりと考えながら読んでみましょう。美学の醜さを非難するヴァレリーや小林秀雄に反論するところまではいかなくても、美学が、生活に対する一つの姿勢などではなく、学問的な研究活動であることが理解できるのではないでしょうか。
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