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ナレッジステーション > KSブックス > ブックレビュー> 2008年12月
   

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今月のブックレビュー:2008年12月

白バラは散らず

書評原題は『白バラ』だが日本では『白バラは散らず』という題で広く知られている、翻訳ロング・セラーで“不動の位置を保つ”珠玉のノン・フィクション作品。1940年代のドイツにおいて、ユダヤ人の大量虐殺に象徴されるナチズムの嵐が吹きすさむ状況下、ミュンヘン大学の医学生と指導教授グループが戦争と権力への必死の抵抗を試みたものの、ついに処刑された「白バラ」と呼ばれた無垢で、英雄的な闘いの記録である。
「白バラ」は反ナチ・反ファッシズムのための平和活動グループの名前で、中心人物はソフィー・ショルという名のミュンヘン大学に在籍する21歳の女子学生と同大学の医学生だった兄とその仲間達だ。彼等が印刷した大量な反戦ビラを大学構内でばらまいたことから、秘密警察に通報され逮捕。その4日後にたった1日だけの裁判で「反逆準備及び敵側幇助」の罪名で死刑判決となって処刑された。
ソフィーは、獄中で身に迫る恐怖におびえながらも、信仰するキリスト教の祈りと両親のはげましに勇気をもらい、検事たちの取り調べに対して、「最善のことをしたと信ずるし、又もし再び逮捕されるとしても、同じことを繰り返すでしょう」と敢然と弁明したという。その上、彼女は裁判官と向いあう法廷でも、「今にあなたがここに立つ」(逆の立場となる)と明言して、実際戦後になって、今度は彼等が(ナチス側の)被告側となり、その言葉通りとなった。
その後、今から3年前の2005年に、ベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞した『白バラの祈り-ゾフィー・ショル、最期の日々』を監督したマルク・ローテムント氏の談話が伝えられている。「今や、戦争で起こってしまったことに対する罪を問う時代ではありません。今は、そこから学ぶべき責任を問う時代なのです」と。

著者 │インゲ・ショル著 内垣啓一訳

ライター 書評NPO法人名著セミナー・理事 内山 信成

KS読者対象 │中学生以上

出版社 │未来社 1964年

価格 │1,260円(税込)

KSカテゴリー │歴史学、政治学、人間(人文系)

レビュー掲載 │2008年12月

※ここでのカテゴリー設定は「日本の大学」学問系統に準拠しています。価格はレビュー掲載時のものです

   
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